Randy Rhoads使用機材

randy rhoads gear

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今回はHR/HM界における伝説のギタリスト、ランディー・ローズの使用機材を特集していきたいと思います。

オジー・オズボーンの初代ギタリストとしてメジャーなロックシーンの表舞台に立ったランディは類まれなるルックスと鬼気迫るスリリングなプレイに加え繊細さも併せ持つ迫真の演奏で瞬く間にその名が知られるようになります。

残念ながら若くして飛行機事故により亡くなってしまいますがその短いキャリアでの一瞬の、しかし眩いばかりの流れ星のような輝きは今なお多くのギタリスト達を魅了し続けています。

サウンド面においては前回機材を特集したVAN HALENとほぼ同じ時代にシーンに登場したこともあって少なからず影響を受けていたと思われます。

しかし、これはランディに限らず当時のHR/HM系ギタリストほぼ全員がエディのサウンドの影響を受けていたのと聴衆もそのようなサウンドを望んでいたためランディもそこからヒントを得て独自のサウンドを作り上げていったのだと思われます。

当時の両者のプレイはよく比較されますが、やはり違いがあり特に初期ヴァン・ヘイレンは陽気で豪快なアメリカンなスタイルですがランディーのプレイはクラシック音楽が下地となっており迫力のある演奏もありながら緊迫感と繊細さも感じさせるスタイルと言えるでしょうか。

そんなランディ独自のクラシック音楽を基礎とするスタイルと当時は革命的だったVAN HALENのようなサウンドを組み合わせた事はギターの可能性をさらに一歩前進させたと言えるかと思います。

このような点もランディが伝説のギタリストとして語り継がれている要素のひとつかもしれません。

ではランディの使用した機材をまだ無名のギター少年だった時代から順にみていきましょう。

無名時代

ランディの実家は音楽教室Musoniaを営んでおり正にミュージシャンになるために生まれてきたと言える環境で育ちました。

そんなランディがクラシック音楽の素養を身につけると同時にギターに興味を抱くのは自然な成り行きだったのでしょう。

最初に手にしたギターは音楽教室を運営する母が所有していたGibsonのarmy navy specialというビンテージのアコースティックギターだったようです。

ギブソンArmy Navy Special

ギブソンArmy Navy Special

そしてロックミュージックに興味を持ったランディはやはりエレクトリックギターに傾倒していきます。

ランディにとって初めてのエレクトリックギターは実家の音楽教室に生徒がレッスンで使うために置いてあったHarmony製Rocketというギターです。

ダンエレクトロなどと同じく、いわゆるビザールギターでボルトオンネックながらセミアコースティックとなっています。

h56

Harmoney Roket H56

ランディが弾いていたのはおそらくNo. H56という型番のもので2PU、それぞれにトーンとボリュームの計4ノブでトレモロユニットを搭載しているモデルだと思われます。

日本でいえばまだ小学生ほどの年齢だったランディはこのギターを使いながら実家の音楽教室でギター講師からレッスンを受け瞬く間に上達していきました。

すっかりエレクトリックギターが気に入ったランディはレッスン以外でもこのギターを持ち出して爆音で鳴らしていたそうです。

その時に使っていたアンプがFenderの10WツイードアンプHarvardだと言われています。

フェンダーHarvard

Fender Harvard 10W

Harmony Roket+Fender Harvardが当時のランディのお気に入りの組み合わせと言えるでしょう。

特にFender Harvardのサウンドはかなり気に入っていたようでこの後結成するクワイエットライオットでのレコーディングでも一部で使われていたようです。

地元でバンド活動を開始する頃には自身のギターとしてOvationのTornadoというセミアコースティックを使うようになりますが、このギターは当時Ovationで働いていたランディの父親から譲り受けた1本のようです。

ovation tornado

Ovation Tornado

ローカルバンド時代のアンプなどに関してはライブハウス備え付けのものを使用していたのではないかと思われます。

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QUIET RIOT時代

母の運営する音楽教室Musoniaで今度は教える側のギター講師としてもは評判になっていランディでしたが、クワイエット・ライオットを結成してより本格的にバンド活動も開始します。

ローカルバンド時代に引き続きOvation Tornadoも使用しますが、セミアコよりもハードロックに適したソリッドボディのギターが必要になったのでしょう黒のGibson SGも使用するようになります。

ギブソンSG

しかし、チューニングに問題があったりとランディはGibson SGには完全にはしっくり来ていなかったようで別のギターを探し求めていたようです。

あるとき楽器店でこれぞと言えるギター、ホワイトの74年製レスポールカスタムを見つけますがまだ無名だったランディには購入する資金がありませんでした。

そこでランディが本格的なメインギターを探し求めていたのを知っていたバンドメンバーと関係者が資金を出し合い秘密裏にこのギターを購入しランディにプレゼントしたそうです。

何ともランディの人柄が窺えるエピソードですね。

このサプライズにランディは大変感激したようで、このホワイトのレスポールカスタムはオジー・オズボーン時代を含め、その後のキャリア全体を通して彼のメインギターとなります。

Les Paul Custom '74 White

Les Paul Custom White RR

  • Body マホガニー、メイプル3P
  • Neck マホガニー3P
  • Fretboard エボニー、22フレット
  • Pick Up Tバッカー
  • Control TONE×2,Vol×2
  • Bridge チューンOマティック
  • ペグ シャーラーロトマチックM6

このランディのレスポールカスタムはペグがクルーソンタイプからロトマチックタイプ/シャーラーM6に交換されている他はほとんどノーマルに近い状態のようです。

この時期のレスポールカスタムのボディーはメイプル材を2つのマホガニー材で挟んだ通称パンケーキ構造となっておりネックはマホガニー材ですがこちらも3ピース構造になっているようです。

指板はエボニーで22フレットです。

当時のピックアップとしては79年辺りまで採用されていたTバッカーが搭載されておりランディーはこのピックアップをそのまま使っていました。

現在Gibsonからこの当時のハムバッカーを再現したGibson T-Typeが販売されていますのでランディーサウンドに近づきたい場合はこのピックアップがおすすめの一つです。

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オジー・オズボーン加入前クワイエット・ライオット時代の終わり頃にはさらにもう1本ランディのトレードマークとなる象徴的なギターを導入します。

それがKARL SANDOVAL氏によるハンドメイドのPolka Dot Vと呼ばれるVシェイプのギターです。

当時の音楽シーンの要望や自身のプレイの幅を拡げるためレスポールには無いアーミングが可能なギターを必要としていたと思われます。

レコーディングではアーム付きギターとして知人のストラトキャスターを使用していたようですが借り物を頻繁に持ち出すわけにはいきませんし自分の好みに改良できません。

そんなタイミングで当時ランディーと親交があった後にDokkenのギタリストとして有名になるジョージ・リンチ(ランディがオジーオズボーンに加入後、Musoniaでランディの後任としてギター講師も務める。)が使用していたギターがKARL SANDOVAL氏によるもので、それを試しに弾いてみたランディーが気に入り自身のギターをオーダーしたという経緯のようです。

Polka Dot V

Randy Rhoads dot V

  • Body アッシュ
  • Neck メイプル(Dan electro)
  • Fretboard ローズウッド、21フレット
  • Pick Up F.PAF、R.Super Distortion
  • Control TONE×2,Vol×2
  • Bridge シェクター、ブラス製シンクロトレモロユニット
  • ペグ シャーラーロトマチックM6

外観はQuiet Riot時代のステージ衣装とおなじ水玉模様でフレット上のポジションマークも衣装と同じ蝶ネクタイ風となっています。

ボディはアッシュ材、ネックはメイプルにローズウッド指板21フレットです。このネックは実はダンエレクトロ製ギターのものを流用しているそうです。

ダンエレクトロの指板はフラットでテクニカル系ギタリストにも好まれたようです。

ヘッドに木材を継ぎ足して矢じりのような形に加工されています。ペグはレスポールカスタムと同じくシャーラー製ロトマチックタイプM6となっています。

ストラトと同じ方式のシンクロナイズドトレモロを搭載していますがユニットの素材はブラス製でシェクター社のものが採用されています。

これに加え2ハム仕様のコントロール類はVol × 2、TONE × 2のギブソン系となっておりストラトとレスポールのハイブリットのようなギターと言えます。ピックアップは前後ともディマジオ製でフロントがP.A.F、リアにSuper Distortionが採用されています。

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クワイエット・ライオット時代のアンプですが、この頃はソリッドステートPeavey Standard Series 260というアンプヘッドとアンペグ製キャビネットやSUNNのキャビネットと組み合わせてステージで使用していました。

PEAVEY Standard 260+AMPEG(SUNN)

peavey+アンペグ

Peavey 260はギター、ベース兼用アンプのためかあまり歪まないようで既にこの時期には歪みペダルとしてMXR Distortion+を導入していたと思われます。

さらにクワイエット・ライオットでのライブでのサウンドから推測するとディレイやフランジャー、コーラスなど後にカスタムペダルボード内に組み込まれるエフェクター類はある程度揃っていたと思われます。

Peavey Standard 260には当時のセッティングが一部マーキングされておりVOLUME35%、TREBLE70%、MIDDLE80%となっています。次のノブはマーキングされていませんが写真ではDISTORTION25%、BASS60%、REVERB10%位置していました。

Peavey Standard 260

ベース用チャンネルにもマーキングがされておりこちらのチャンネルも使っていたことが伺えます。

ベース側はTREBLE60%、BASS80%マーキングはありませんがVOLUME90%、MIDDLE10%につまみが位置しています。

このアンプにはエフェクトループはなさそうです。しかし入力が各チャンネルにそれぞれ2つあるので、もしかするとJC-120のようにチャンネルリンクを応用して歪み側と空間系(揺れもの系)を分けていたのかもしれません。

ランディー・ローズQuiet Riot時代の機材接続

図のようにチャンネルリンクを応用して最初に2つあるINPUTから空間系へも信号を渡します(2分配)。そしてディレイ等をかけてベースチャンネルのINPUTへ入力します。

これならディレイ等もアンプ側の歪みで濁らせることなくかけられそうです。

このためベースチャンネルも使っていたのではと推測します。ステレオコーラスからの2分配だと歪みチャンネルに入力したエフェクトが濁ってしまう。)

ただし、PEAVEY Standard 260はほとんど見かけないアンプで実際にチャンネルスルーができるのか不明なため、このような接続方法は当サイト独自の憶測にすぎません。参考までにお考え下さい。

また、ギター少年時代の項目でも記述しましたがクワイエット・ライオット時代のレコーディングではお気に入りのアンプFender Harvardも使用されていた可能性があります。

Quiet Riot時代のレコーディング

一部では図のようなセッティングで録音されたのかもしれません。ディレイ等はあとがけの可能性もありますがボリュームとトーンだけのアンプなのでDitortion+は使っていた可能性はありそうです。

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ではランディーが使用していたエフェクター類を見てみましょう。

Randy Rhoads使用エフェクター

QUIET RIOTのライブサウンドから確認できたエフェクト以外にもランディの使用したペダル類が幾つかありますので後のOZZY OSBORNE時代を含めて総合してご紹介します。

MXR Distortion+

MXR Distortion+

ランディが使用していたことで大変有名なのがMXR DISTORTION+です。定番歪みペダルのひとつであり現在も入手が可能なのですがランディが当時使っていたのは表記が筆記体のスクリプト期のモデルです。

現行品とはサウンドにも若干違いがあるようなのでランディーサウンドを目指す場合はスクリプトロゴのものを中古で入手する価値はあるでしょう。また最近トレードマークである水玉模様のMXR RR104 Randy Rhoads Distortion+ Sepcial Editionが発売されたようですが限定品のため既に入手が難しいようです。

現行品でも回路そのものはほとんど同じなのでサウンドの基本も同じはずです。

スクリプトロゴが入手が難しい場合は現行品でも方向性の近い歪みは十分再現できるはずです。

MXR flanger

MXR 117R Flanger

現行品MXR M117R Flanger

VAN HALENも使用していたことで有名なフランジャーです。Quiet Riotの楽曲でも使われているので当時からすでに所有していたと思われます。

MXR Stero Chorus

MXR Stereo Chorus

MXR Stereo Chorus

クリーンサウンドにおけるプレイをはじめ随所に使われるコーラスですがステレオ出力を利用してLRへ分岐させる重要な役割も担っています。

ランディーが使用していたのは3コントロールの今となってはヴィンテージのバージョンです。現行品はコントロールが増えより細かな設定ができます。

MXR Ten Band Graphic EQ

mxr 10bandイコライザー

本人が使っていたものと同じMXR Ten Band EQの画像を使って実機をとらえた写真の設定を再現してみました。ランディーのサウンドの秘訣はイコライザーにあるかもしれません。

DISTORTION+の不要な高音域をEQで削っていたなどの説もありますが再現画像のように高音域側は4kHzをほんの僅かだけ下げているだけで基本的には500Hzをピークとする山なり型で中音域をブーストしています。ボトムの31.2Hzを削っているのもポイントでしょう。

本人が使っていたものは現在はヴィンテージ品ですがMXR 10band EQ現行品でも機能そのものは変わっていないので同じ設定を再現できるでしょう。ただ撮影時の設定で実際に演奏されていたのかは分かりません。

Roland FV-2

ローランドFV-2

ランディーは後述するカスタムペダルボードのノイズに悩まされていたようで曲の合間など演奏していない時はボリュームペダルで入力をカットしていたとの説があります。

このボリュームペダルも現在はヴィンテージ品なので現行のRoland FV-500hなどハイインピーダンスタイプをギターの直後に設置するのがよいでしょう。

Jim Dunlop cry baby Wah

クライベイビー

ランディーが使っていたWahペダルはCrybabyです。ニュアンスを再現するなら現行のスタンダードなJim Dunlop crybabyよいでしょう。

DELAY

ディレイに関してはランディはいくつかの機種を使い分けていたようです。

  • Maestro Echoplex
エコープレックス_EP-3

ECHOPLEX EP-3 (写真はイメージです)

ファーストアルバムレコーディング時と思われる写真にはエコープレックスを使用する様子がとらえられています。

ランディーといえばリードプレイでのダブリングが有名ですがエコープレックスでは最短80ms程までしか設定できないようなのでダブリングは微妙なところです。

ランディーは同じギターソロをほぼ正確に何度か弾きそれを重ね合わせることでダブリング効果を生み出していたというのが真相のようで、やはり演奏技術によるところが大きいと言えるでしょう。

エコープレックスは自然な残響音として使っていたのではないかと思われます。

  • Roland  RE-201
ローランドRE-201

Roland RE-201 Space Echo

資料によるとライブではJeff Beckも使っていた人気のRE-201を使用していたとの記述もあります。

LRで2機のディレイを使っていたようですがRE-201を2台ではなく違う機種を組み合わせていたようです。違う機種を使うほうが微妙なズレが生じ効果的なディレイをかけられるためでしょうか。

もう一方のディレイとしてはKORG SE-500 Stage EchoやMXR Analog Delay、YAMAHA Eシリーズなどを使用していたといわれています。

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OZZY OSBOURNE時代

オジー・オズボーンに加入するとワールドクラスのライブツアーとなりホールやスタジアムなど広い会場での演奏が多くなります。

ランディの機材もそれに伴い強化が図られます。

エフェクター類を通称"チップ・パン"と呼ばれるカスタムペダルボード内部へ組み込みます。

カスタムペダルボードChip Pan

Chip Panイメージイラスト

おそらく各エフェクターの基盤を抜き取ろ全てボード内に組み込んだものと思われます。各スイッチ類は左からWAH、EQ(イコライザー)、EXT(外部エフェクトのON/OFF)、BYP(BYPASSバイパス)、FLNG(FLANGEフランジャー)、CHR(コーラス)、FUZZ(Distortion+)、ECHO(外部ディレイのON/OFF)となっています。※この配列は接続順ではありません。

WAHペダルのスイッチもボード側にあることから基盤のみ移植されて操作用ペダルケースは外部設置としている可能性が高いと思われます。

そのWAHスイッチの真上の四角部分はフタになっており、ここを開けるとイコライザーのスライダー操作が出来るようになっています。(EQはケースごと入っておりスイッチ部分のみを内部で結線し直しているのでしょう。)フタの隣VOLとDIST表記はDISTORTION+の操作用のツマミです。

その右からはコーラスとフランジャーの設定用ツマミで元の表記が共通しているので断定はできませんがMAN、WIDTH、SPEED表記がコーラス設定用のノブ、そして一番右側RANGE、SPEED、COLOR表記がフランジャー設定用の操作ノブではないかと思われます。

このボードもブライアン・メイのカスタムペダルボードを手掛けたピート・コーニッシュ氏によるものとの説もあります。

「Blizzard of OZZ」アルバム制作に関わったエンジニア一覧にはボード製作者としてPETEという名の人物が記載されています。

ランディーはインタビューで否定しているようですがボードのコンセプトなども当時人気だったピート・コーニッシュペダルボードを彷彿とさせるので憶測を呼ぶところですが真相は不明です。

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ボード内部の各エフェクターの接続順にも様々な説があるようですが一般的なセオリーとライブでのサウンド、これまでの研究を総合すると次の図のようになるのではないかと推測しました。

ランディ・ローズPedals

まずギターからボリュームペダル➡Wah➡MXR Distotion+の順ですがセオリー通りの基本的なつなぎ方となっているのでWahも自然なかかり具合となります。次はMXR 10Band EQですがペダルボード内部には分配機能があり、EQ直後にAMP Outと揺れものエフェクター側(フランジャー、コーラス)に分岐しているのではと推測してみました。

理由はこの後の機材全体図の項目で解説しています。

EQからアンプへ直接つなぐルートがあり、それとは別のルートでは次にFlanger➡Stereo Chorusとなっています。

フランジャーとコーラスは同時には使用しないと思われるので、どちらを先に持ってきても問題はないのですがコーラスがステレオ式のためこちらが最終段となってSEND1、SEND2より出力されるものと思って間違いなさそうです。

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オジー・オズボーン時代にはさらに新たなギターも導入されます。

それが後にJacksonランディVとして定番メタルギターの一つとなるもののプロトタイプです。

ランディが乗った音速旅客機コンコルドから着想を得て自身が描いたデザインの原案から作られたギターです。

JACKSON Randy Rhoads V(プロトタイプ)

ランディVプロトタイプ

  • Body メイプル
  • Neck スルーネック
  • Fretboard エボニー、22フレット
  • Pick Up F.Duncan Jazz Model、R.Duncan Distortion
  • Control TONE×2,Vol×2
  • Bridge シェクター、ブラス製シンクロトレモロユニット
  • ペグ 日本製ロトマチック
  • ナット 牛骨

このギターもPolka Dot V同様シンクロナイズド・トレモロが搭載されていますが激しいアーミングで狂ってしまったチューニングをギターテックが修正できるよう曲ごとに持ち替えるためにアーム付きギターをもう1本導入したと推測してみました

激しいアーミングでもチューニングの狂いにくいフロイドローズ式のギターも当時すでに普及していたと思われますが導入しなかったのはランディにっとっては弾きにくさがあった、もしくはナチュラルな弦の鳴りを重視していたのかもしれません。

シンクロナイズド・トレモロタイプでも2本あれば交換しながら使えるため大規模化したライブをスムーズに進行できます。

しかし、Polka Dot Vとの違いも明確にあります。

まずRandy Vプロトタイプはスルーネック構造で木材にはメイプルが使われているようです。

指板はエボニーで22フレット仕様です。

ペグはロトマチックタイプのようですが日本製だということです。

ブラス製のシンクロユニットに2ハム仕様のVol × 2、TONE × 2とうい点に関してはDot Vを受け継いでいます。

ピックアップはフロントがDuncan Jazz Model、リアにはDuncan Distortionが採用されています。

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そして、このランディVプロトタイプを本人が使用していく中でハイポジションでの弾きづらさ等いくつか改良したい点が出てきたようです。

Vシェイプのデザインをもっとシャープにしたり重量をもっと軽くするなどの要望をもとに新たなランディVがつくられました。残念ながらランディ自身が改良版Vを使用していたのはわずかな期間ではありましたが、現在ランディVとして販売されているギターのラインナップはこちらのデザインとなっているようです。(プロトタイプの復刻版も限定で販売されたことがあったようです)

Randy Rhoads V(改良版)

ランディV改良版

  • Pick Up F.Duncan Jazz Model、R.Duncan Distortion
  • Control TONE×2,Vol×1
  • Bridge チューンOマティック
  • ペグ ロトマチック

改良版ランディVはボディの左右非対称がより明確になっており見ためのインパクトを増しています。

プロトタイプと同じ22フレット仕様ですがネックは18フレット付近からボディに接しておりシャープなV形状と相まってハイポジションでの弾きやすさが改善されています。

ピックアップにはプロトタイプと同じダンカン製が採用されておりTONE×2ですがボリュームは共通のワンボリュームタイプとなっています。

改良版ランディVにはトレモロアームがついておらずブリッジもレスポールと同じくチューンOマティックタイプとなっています。

おそらくアーミング用のギターはPolka Dot VとプロトタイプのランディV2本が既にあるため、メインギターであるレスポールカスタムのバックアップも兼ねて制作されたのではと想像しますがどうでしょうか。

せっかく新たなギターをデザインできるのであればランディ本人の要望も取り入れてもらいつつプロとして実用性も考えていたのではないかと思います。(現在、市販されているランディVのラインナップにはチューンOマティックタイプだけでなくフロイドローズ式のものなど多数取り揃えられています。⇒Jackson Randy Rhoads V

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Marshall 1959RR

オジー・オズボーン加入後の機材アップデートで最も際立っていたのが使用するアンプの一新でカスタムのMarshall 1959 Super Leadを導入したことでしょう。

Ozzy Ozborne 1stの「Blizzard of Ozz」、セカンドアルバム「Diary of A Madman」そしてライブ盤の「Tribute」で聴くことのできるサウンドはこのアンプがメインといえます。

このアンプもランディ本人がマーシャル工場に直接出向きサウンドのイメージと要望を伝えオーダーしたもののようです。

まず見た目としては通常ブラックの外観がホワイト基調になっておりMarshallのロゴは逆に黒になっています。

キャビネットのスピーカーはQUIET RIOT時代と同じくAltec 412-8C(もしくは412-8H)が採用されているようです。このスピーカーチョイスもランディサウンドの秘訣の一つと言えそうです。

Marshall 1959 Super Lead Custom

復刻版Marshall 1959RR

カスタム最大の特徴はINPUT IIからギター信号を入力すると内部でプリアンプ管がカスケード接続されGAINアップする仕組みとなっているようです。

ノーマルのMarshall1959でも2系統のそれぞれ独立したプリアンプ部を持っていますが(INPUT IがVOLUME I、INPUT IIがVOLUME II)チャンネルリンクをすることにより2系統のプリ部がパラレル、並列接続され同時に使うことができます。

それぞれのチャンネルは特性が異なっていますがチャンネルリンクでパラレルミックスすることにより両方の特徴のバランスを取りながら同時出力することができます。

しかし、ノーマル1959のチャンネルリンクはパラレル接続にしかならないため音量やGAINはアップしません。

そのためランディ仕様のカスタムMarshallは2系統のプリアンプ部がパラレルではなく直列で接続されるようなイメージの改良だと捉えてもらうと分かりやすいかと思います。(歪みペダルの前にブースターをつないでONにすると歪みが強くなるのと同じような原理です。正確には2系統のプリアンプ管同士のカスケード接続ということで単純な2つの回路の直列とは異なるかもしれません。)

このような接続は前回特集したVAN HALENのアンプの使い方をスマートにした形ともいえるかと思います。

ヴァン・ヘイレンは2台のマーシャルヘッドを用いて1台目のスピーカーアウトからフルアップの出力で別のもう一台をブーストさせていましたがランディのアンプは元からある2系統のプリアンプ回路を応用して1台で完結させています。

ランディ側が当時エディのブラウンサウンドの秘密を解明していたかはわかりません。

しかし、当時の歪みの作り方の方向性としては同じようなコンセプトを感じさせます。(ブラウンサウンドには他にも秘訣があるため両者のサウンドにも明確な違いがあるでしょうが)

実機のコントロールパネルを捉えた画像には各ツマミの設定位置がマーキングされており、それによるとVOLUME I・60%、VOLUME II・65%となっています。

これまでの説明のように内部で2系統のプリ部が直列となっているため前段側VOLUME II?を上げると(INPUT IIに接続するとカスケード接続になるカスタムなので)GAINが上がるものと思われます。

Randy Rhoads AMP setting

イコライザー類を見るとPRESENCE・50%、MIDDLE・55%、TREBLE・65%となっています。

BASSだけマーキングされていませんが撮影時にはツマミが10%付近に位置していました。

ライブ写真ではこのホワイトのカスタム1959のほかにノーマル仕様と思われる1959がさらに2台メインを挟んで両サイド確認できます。(会場によってはノーマル1959は1台のみ)これはMXR Streo Chorusから信号を分岐させ別々のディレイを通って各アンプに接続しLRで鳴らすためでしょう。

キャビネットのみホワイト基調でヘッドと合わせて各3段積みとなっています。

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RANDY RHOADS機材接続経路

オジーオズボーン時代の機材が出そろったところで接続経路と全体図を見てみましょう。

経路を探るにはカスタムペダルボードChip Panの背面を捉えた画像が大きなヒントになります。

ここにはプラグ類を接続するためのジャックが複数備えられている事がわかります。

背面に向かって左側(ボリュームペダルFV-2側)から順に見ると、まず安定強化された電源を接続すると思われるコネクター用ジャックがあります。

そのすぐ隣はジャック増設用のためか穴が開けられていますが何の表記も無いので当時も使われていなかったのでしょうか。

この穴の右側からが機材接続用の入出力ジャックとなります。

チップパン背面

Chip Panジャック類イメージイラスト

SEND、RETURNのジャックが2組あり、その隣がアンプへの出力用AMPアウト、そして一番右側がギターを接続するための入力ジャックの表記となっています。

SENDが2つあるのはStereo ChorusからLRに分岐しているためだと直ぐに察しが付きますがRETURNが何処にもどるのか不思議に思うところです。

しかし、このChip PanのReturnはエフェクトループ等ではなくボード外エフェクトとなるディレイのフットスイッチをボード内に組み込んだためON/OFFの信号をやり取りするためのシールドプラグをRETURNに接続するという仕組みのようです。

Chip PanのEcho表記のスイッチがこれに該当します。

次のイラストが全体図ですが上記を踏まえると、まずギターをボードのINPUT(GUIT表記のジャック)に接続しメインアンプであるカスタムMarshallへAMP OUTから出力するラインがあります。

それとは別に2つあるSENDからそれぞれ左右別々のディレイへ接続し個別のアンプを鳴らす仕組みではないかと思われます。ディレイのフットSWのプラグがそれぞれのReturnに繋がれます。

セッティング全体図

ランディー・ローズ機材接続ルート

出力が3つ有る訳ですがAMP OUTから接続されるメインのカスタムアンプはボード内で分岐されたDISTORTION+とイコライザーのエフェクトのみを受ける歪み専用アンプではないかと当サイトでは考えました。

というのもメインのカスタムアンプはカスケード接続でより歪むように改造されているため、ここにコーラスやディレイエフェクトを加えると空間系➡歪みの順になってしまいサウンドが濁って綺麗にエフェクトをかけられません。

そこでトータルのエフェクトを受ける左右のノーマルMarshallはクリーンに設定しておく事でモジュレーション、空間系エフェクトも問題なくかけられます。(LRのノーマルMarshallにもDISTORTION+の歪みは加わりますが歪み➡空間系の順なので問題ありません。)

ライブ会場によってはノーマルMarshallのセットが1セットのみの場合もありもう一方のディレイチャンネルはPAへラインで直接接続していた可能性もありそうです。

当時のステージセッティングリストにはメインのカスタムMarshallにのみMICの記載がありディレイからのアンプにはマイキングがされてなさそうですが代わりにLINEの表記があります。

やはりディレイを効果的にかけるにはブライアン・メイやヴァン・ヘイレンの接続方法と同じく個別のアンプを鳴らすのがプロの現場では鉄則のようです。

この接続経路のほかに考えられる別パターンとしてはメインのカスタムMarshallにはエフェクトループが増設されていたとするとカスケード接続のプリアンプの歪みをボードへ戻せる形になるので(Chip PanのどちらかのReturnがディレイフットSW用では無く信号経路を戻すためのReturnである必要がありますが)

ギター➡MXR Distortion+の歪みとEQ➡ボードのSEND1➡カスタムMarshallの入力からプリアンプの歪み(アンプのSEND)➡ボードのReturnからモジュレーション系エフェクト➡ボードのAMP OUT➡カスタムMarshallのReturn(パワーアンプ部)へという経路に加えボード内のStereo Chorusからのもう一方のルート、ボードのSEND2➡ディレイ➡ノーマルMarshallというパターンも考えられます。(この方法だとボード内のスプリット機能は存在せず、さらに10Band EQとフランジャーは直接つながっておらずEQ➡ボード側SEND1➡アンプの歪み➡ボード側Return1を経てフランジャーとつながる事になります。)

(ランディのカスタムMarshallのバックパネルをとらえた写真にはスピーカーアウト2つのほかにジャックが2つ確認できます。しかし、表記が何もないことからエフェクトループであるとは断定できません。当時のJMPモデルにもバックパネルにジャックが4つのものもあるようですが、それらはエフェクトループでは無いようです。また実機を再現し復刻されたRandy RhoadsシグネチャーアンプMarshall 1959RRにもエフェクトループは無いようです。)

上記の方法ならDistortion+の歪み➡プリアンプの歪み➡空間系の順になるので問題なくエフェクトをかけられますが、あくまでも当サイトが想像した可能性の一つとお考え下さい。

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Randy Rhoadsの使用機材としては以上のものが既に一般的にも知られているものかと思います。

VAN HALENと比べ簡素で秘密も少なくわかりやすい感じもしますが、それは若くして亡くなってしまったためでもあり活動期間も短く、もし存命であればどんな音楽を創造していたのか、どんな機材を使っていったのか大変惜しまれるところです。

しかし、後の多くのギタリスト達がランディーの遺志を継ぎ様々なサウンドを生み出してきました。

その一瞬での輝き故今でも、そしてこれからも伝説としてランディーの功績は受け継がれていくことでしょう。

以上ランディローズ使用機材でした。また新たな機材研究が発見されれば追加で更新していく予定です。