Delay
ディレイとは遅れるという意味ですがエフェクターにおいては最初の出音に対して一定のタイミングで遅れた音を繰り返す音響機器です。コーラスやフランジャーも遅れた音を使ったエフェクトですが、違いはコーラスの場合は原音がまだ鳴っているタイミングで重なるダブリング効果と揺れであるのに対しディレイは遅れた音が一定の間隔を開けて返ってくるので揺らぎ効果とはっきり区別できると言えます。
またフランジャーのように音をうねらせるわけではなく、遅れた音は原音と同じ音が繰り返されるためフランジャーとも全く違った効果になります。いわゆる『やまびこ』の効果(登山などで向かい側の山に向かってヤッホーと叫ぶと反射してヤッホー、ヤッホーと返ってくる現象)と同じです。
ディレイの使い方
ディレイは設定により目立つ使い方と薄くかけて隠し味的な使い方どちらも可能です。目立つ使い方をした場合、常にかけっぱなしで音が返ってくる状態だと困る場面も生じる可能性があるので、この場合は使いどころが重要になります。
実際にディレイが使われている次の曲を聴いて参考にしてみましょう。
ディレイを使うギタリストといえばやはりU2のエッジでしょう。いわゆる付点8分音符ディレイをエッジが最初に始め、後のディレイエフェクトに多大な影響を与えました。この曲では曲の中間あたりからアルペジオ的なフレーズに付点8分音符ディレイがかけられており美しく独特の広がりのある世界観を演出しています。
付点8分音符ディレイの作り方
計算式によりディレイタイムを設定します。次の計算式で算出されたディレイタイムに設定すれば曲のテンポに対して付点8分のディレイ音を鳴らすことができます。
付点8分音符ディレイにより8分フレーズを弾いていても16分音符が出現し繰り返すことで簡単なフレーズも複雑に聞こえるようになります。
QUEEN - Brighton Rock
ブライアン・メイのギタープレイが堪能できるこの曲ではディレイが効果的に使われています。3:25辺りからディレイ音による繰り返しフレーズに対してレスポンスしたフレーズでリードパートが展開していくような幻惑的な演奏を聴くことができます。
OZZY OSBOURNE - Mr. Crowleyのギターパートのみを抽出した音源です。
MXR Distrotion+で紹介した伝説のギタリスト、ランディローズの正に名演と言えるこの曲でのギターソロではディレイが欠かせない存在となっています。コーラスほどでは無いにせよ非常に短いディレイタイムとリピートも1回程度を小さくかけてスリリングなプレイをより一層際立てています。このような目立たない隠し味的な使い方も効果は絶大かつ使う場所を選ばないので是非参考にしてください。
ディレイの操作
ディレイも数多くの機種が存在していて各々操作項目も異なりますが、多くの機種に共通すると思われる設定方法を解説いたします。
DELAY(TIME)
ディレイ音の遅れてくる間隔を設定します。
REPEAT(Feedback)
遅れてきた音を何回繰り返すかを設定します。最大値では無限リピートが設定できる機種もあります。下げていく度にリピート回数が減り、最小値では0~1回のみのリピート回数になります。
EFFECT(LEVEL,MIX)
全体の音量ではなく、原音の音量はそのままで遅れてきた音の音量のみを調節します。REPEATと連動させてディレイ音の収束する加減を調節してください。
一般的なディレイ
ディレイでは次のような機種が標準的と言えるでしょう。
BOSS DD-3
やはり定番BOSSのディレイです。後継機が現在DD-7まで出ているにも関わらず未だに生産され続けている人気の機種です。原音に忠実なリピート音とシンプルな操作ツマミで最初のディレイにはぴったりの1台です。
LINE6 DL4
こちらは多くのプロギタリストの足元に置かれているディレイペダルです。歴代様々な機種のディレイをシミュレートしたモデリング機能やセッティングの保存、ルーパー機能なども備わっており多様な使い方ができます。設定項目が多く価格もそれなりにすることから入門向けとは言い難いですが定番のペダルと言えます。