機材ごとの詳細設定
それでは各使用機材と設定方法を細かく見ていきましょう。
①ギター
原曲に近い雰囲気を出すには6弦のアコースティックギターでもよいのですが、ここではバンドでの演奏とエフェクターの使用を想定しているためエレクトリックギターを使ってサウンドメイクを進めました。
使用するエレクトリックギターですが今回はドン・フェルダーがライブでギブソンダブルネックの12弦を使っていることからハムバッカー搭載の6弦SGを使って音作りをしました。
使用するアコースティックシミュレーターとの相性もあると思いますのでシングルコイルのギター、テレキャスターやストラトはもちろん手持ちのギターやご自身がメインで使っているギターで微調節していただければ十分雰囲気は出せるかと思います。ハムバッカー搭載のギブソン系にこだわる必要はありません。
今回はフロントピックアップで音作りを進めましたがアコースティックシミュレータとの相性によってはリア(ブリッジ)側のピックアップのほうがアコースティックサウンドをうまく再現できる場合もあるようです。ここは使用機材によって相性の良いほうを選択してください。
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②コーラス
アコースティックサウンドだけを再現するのであれば厳密にはコーラスは必需品というわけでは無いのですが原曲のイントロでは揺れ物のエフェクトがかかっている感じがします。
おそらくスタジオ機材を使ってミックス前に後掛けでエフェクトをかけたものと思われますがバンド演奏で原曲の雰囲気を出したい場合はコーラスを使うとかなり近い雰囲気が出せると思います。12弦ギターの雰囲気を出すのにもコーラスは最適なエフェクトです。
今回も当SMALLGARAGE製のコーラスCHR-SR1を使いましたが設定値などは別機種でも参考にしていただけるかと思います。
設定のコツはあくまでも薄くコーラスをかけることです。
この後に接続するピッチシフターでオクターブ上の音を加えるためここでエフェクトを強くかけすぎると音程のピッチが安定せず気持ちの悪いエフェクトになってしまいます。
具体的な設定値ですがCHR-SR1ではDEPTH(エフェクトの強さ)を20%、SPEED(揺れの速さ)も20%と揺れをかなりゆっくり、かつ薄くしています。
別機種のコーラスの場合は揺れの速さ、周期を1250msecを目安に設定しましょう。(揺れの山の頂点から次の山の頂点をBPM=48ほどを目安に設定)
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③ピッチシフター
エフェクター基礎講座の「12弦ギターを再現したセッティング」でも解説しているように12弦ギターを再現するためにピッチシフターなどを使ってオクターブ上の音を重ね複弦効果を狙います。
1オクターブ上の音を重ねる機材はオクターバーやピッチシフター、ハーモナイザーなどいくつかありますが機種によってコンセプトや設定項目に違いがあり具体的なパラメータ数値は一概には説明が難しいのですが共通して言えるポイントはやはり、あくまでもエフェクトは薄くかけるということです。
まずはピッチシフター等で原音に1オクターブ上の音をミックスするよう設定してください。ハーモナイザーなど曲のKEYを設定する場合はホテル・カリフォルニア原曲と同じKEYであればKEY=Dメジャー(Bm)に設定しましょう。
今回使用した機種ではエフェクトレベルを5%とほとんど最小値に近い値に設定しました。これ以上エフェクトレベルを上げすぎると音程のピッチが狂ったようなサウンドになってしまいます。ただ機種によってはエフェクトレベルをここまで下げる必要のないものや強くしても安定したエフェクトをかけられるものもあるかもしれません。各自オクターブ上の音が上手くミックスできるレベルを探ってみてください。
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④アコースティックシミュレーター
エレクトリックギターでアコースティックギターを再現するのであれば是非とも使用したいエフェクターです。アコースティックシミュレーターは特に機種によって設定項目に違いが多数あるかと思いますがご自身の使用する機種に照らし合わせて参考にしていただければと思います。
アコースティックシミュレータ参考機種
BOSS AC-3
設定のコツですが今回使用したアコースティックシミュレータに限らず多くは、いくつかサウンドキャラクターのモードを選択できるかと思います。あくまでシミュレータのため使用条件によりアコースティックサウンドを上手く再現できないモードもあるでしょう。消去法で使えるモードを選択する形がベストかと思います。お使いのギター、ピックアップと相性の良いアコースティックギターを最も再現できるモードを選びましょう。
リバーブ機能を搭載している機種も多いかと思いますが、あまりワザとらしくならないよう低めの設定値にしましょう。今回リバーブは20%に設定しました。
そのほかピッキングのアタック感やボディーの鳴りの再現度を調節する項目がある場合は先に接続しているピッチシフター等との兼ね合い、12弦サウンドの再現度を確認しながら調節します。今回の使用したアコースティックシミュレータではその他設定項目はフラット50%にすると丁度よい感じになりましたが機種によって個別に設定値を探るのが良いかと思われます。
LEVEL設定ができる場合は全体の音量とエフェクトのかかり具合を確認しながら設定しましょう。音量によってコーラスやピッチシフター等が不自然に目立ってしまう場合や逆に不鮮明になってしまう場合があります。最適な音量が見つかったら最終的な音量はアンプ側で調節するのがベストです。今回はLEVELを50%に設定しました。
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⑤使用アンプ
おすすめのアンプですがバンド演奏などではJC-120などクリーンサウンドが得意なアンプがよいでしょう。アコースティックサウンドを再現するため個性の強いアンプよりはクセの少ないソリッドステートのアンプのほうがアコースティックサウンドを再現しやすいかと思います。
アンプ設定の目安ですがまずは歪まないようGAIN等がある場合は音が出る最小限の値に設定しましょう。
アコースティックシミュレーターにイコライザーがある場合はそちらをメインに音色を設定しアコースティックシミュレータのサウンドを損なわないよう微調節する方向です。
アンプのイコライザー類をフラットに設定してMiddleを少し削るイメージです。アンプの機種によってフラットの値が違うため各自お使いのアンプの特性を確認しておきましょう。
アンプによってはフラットだとアコースティックサウンドが上手く出せないという場合は実際に音を出しながら独自の設定を探っていく作業になります。
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セッティング全体図
ここまでの解説、接続順と設定値をまとめたリストです。↓