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Jeff Beckのアルバム『BLOW BY BLOW』からFreeway Jamを取り上げてサウンドメイク方法を研究してみたいと思います。
BLOW BY BLOW期の使用機材を再確認
この時期のジェフ・ベックの使用機材ですが、まずはギター本体に注目してみるとメインのギターがレスポールからストラトキャスターに代わっています。
同じくBlow By Blow収録の「悲しみの恋人達」では通称テレギブと呼ばれるフロント、リア共ハムバッカーに交換されたテレキャスターの使用が有名ですがFreeway Jamではアーミングを多用していることからメインであるストラトキャスターで間違いないでしょう。
フェンダーStratocasterジェフ・ベックモデル一覧➡
アンプはMarshall 1959でキャビネットはFender製のものとの組み合わせがこの時期のライブでは確認されています。
歪みペダルはこの時期ColorsoundのOverdriverです。この辺りがBLOW BY BLOW期のジェフベックの大まかなサウンドメイクの手掛かりになります。
ジェフベック本人の使用機材に関してはアーティスト別ペダルボード研究のコーナーJeff Beck使用機材のページでも特集していますので詳しくはこちらをご覧ください。
Freeway Jam風サウンドを入手可能な機材で再現
上記のような機材が実際にジェフベックが使用した機材だと思われますが本人と同じ機材、今となっては高価なヴィンテージ品を揃えるのはなかなか難しいところなので入手しやすい機材で再構築してみましょう。
まずは歪みですがColorsoundのOverdriverの代わりとして荒々しい歪みのオーバードライブかファズを使うと良いでしょう。
ここでは当SMALLGARAGE製オーバードライブDynamix Driverを使いました。
別のオーバードライブをお使いの場合はDRIVEやTONE、LEVELの設定値などをご自身の機材に照らし合わせてご覧ください。TS系オーバードライブであれば設定値の再現性はより高くなるかと思います。
さらに広がりのあるスリリングかつ暴れるようなリードプレイを演出するためディレイを隠し味的に使用します。
これに加えメインテーマのユニゾン、ダブリング効果はレコーディングでのオーバーダビングによるものだと思われますがギターが一人の場合はこれを更にもう1台のディレイを使って再現してみましょう。
今回は当SMALLGARAGE製ディレイDLY-SR1と他社製のディレイを組み合わせてこれらを再現してみました。
ディレイの設定値も機種によらず解説していきますのでセッティングの参考にしていただけるかと思います。
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接続順と基本セッティング
接続順はギター(ストラトキャスター)➡オーバードライブ➡ディレイ1(DLY-SR1)➡ディレイ2➡アンプという接続順です。
ディレイを2台用意しますが1台目オーバードライブ直後のDELAY①はメインテーマ演奏時のみONにするダブリング効果用のディレイで特殊効果を狙った設定となります。アンプ直前のDELAY②は常時ONにして隠し味的に迫力あるギターサウンドを演出します。
今回アンプはクリーン~クランチ程度の歪みに設定しますのでディレイもそのままアンプのINPUTに接続しても問題はないかと思います。もちろんアンプにセンドリターンがある場合はそちらにディレイを接続してもOKです。
ギター
ギターはアーミングも再現するならやはりストラトキャスターがベストです。
全編リードギターと言える曲構成なのでピックアップセレクターは一部を除きリアを基本に考えます。ボリュームはギターがメインのインスト曲なので基本的に全開ですが間奏などで別の楽器にソロプレイを明け渡す際は本体のボリュームを操作しましょう。
TONEもオーバードライブとアンプ側で調節するので基本はMAXにしておきます。
オーバードライブ
オーバードライブのセッティングですがColorsoundのOverdriverはオーバードライブの名は付いていますが70年代中盤当時はまだオペアンプを使ったオーバードライブではなくトランジスタを使った歪みペダルのためどちらかというとファズのような荒々しい歪みと言えそうです。
そこでDynamix DriverのDriveは80パーセントと上げ気味設定し3つあるクリッピングモードは真ん中のDumbleモードを選択します。
Dumbleモードはダイオードによるクリッピングを解除してダイレクトな歪みを作るモードです。ファズのような荒々しさを再現するには最適なモードです。
LEVELは全体のバランスを考え40パーセントほどです。
TONEも全開にして鋭いサウンドを作ります。
パラレルミックスやクリーンミックスは使用しないためMIXツマミは全開にしておきます。
DRIVE、TONEとも上げ気味に設定しているのでLEVELを上げ過ぎるとブーミーなサウンドになったりハウリングの原因になります。全体の音量設定はアンプ側で行いましょう。
常時ON用ディレイの設定
つづいてディレイのセッティングです。まずはアンプ直前のDELAY②の設定方法から解説します。DELAY②は常時ONのディレイとして使うため特殊効果ではなく一般的な設定となります。
DELAYタイムを390ms、Repeat(Feedback)は3回程度の自然なディレイエフェクトに設定しましょう。
エフェクトレベルは15パーセントとかなり小さめです。あまり目立つディレイエフェクトにすると音像がぼやけてしまいます。常時ONのディレイとしては聴き手にエフェクトが掛かっていると気づかれないような隠し味的かつ効果的な使い方にするのが重要です。
1台目のDELAY①はメインテーマ演奏時のみONにします。ダブリング効果を狙うため特殊なセッティングとなりますので、この後のメインテーマのセッティング↓で解説しています。
アンプ
アンプのセッティングも見ていきましょう。
歪みはオーバードライブで作っているのでアンプ側のGAINは低めの設定にします。といっても完全なクリーンでもなくクランチ気味に僅かに歪む程度に設定します。僅かなひずみでもオーバードライブの歪みと組み合わさることで迫力のあるサウンドを作れます。
今回はあまり歪まないアンプでGAINを65パーセント程に設定しました。ハイゲインなアンプの場合はGAINをもっと低めに設定しましょう。
アンプのイコライザー類の設定も見ていきましょう。
アンプのTrebleはオーバードライブのTONEをMAXにしているのであまり上げ過ぎると線の細いサウンドになってしまいます。それでも下げ過ぎるとこもったサウンドになってしまうので使用するアンプの特性に合わせて設定しましょう。
今回使用のアンプではTrebleを75パーセント程に設定しました。
MIDDLEは85パーセント以上に設定します。中音域を上げることにより線の太い音を作ると同時に70年代的なギターサウンドの雰囲気に近づけます。
BASSも75パーセントほどにしました。50パーセントでフラットな低音設定となるアンプではセンターよりも少し高めに設定するイメージです。マスターボリュームは必要に応じて適切な音量になるよう調節します。
セッティングリスト①(基本セッティング)
アンプ設定
- GAIN 65%
- TREBLE 75%
- MIDDLE 85%
- BASS 75%
ディレイ2設定
- Delaytime 390ms
- Repeat 3回
- Effect Lv. 15%
ディレイ1設定
(OFF)
Overdrive設定
- DRIVE 80%
- LEVEL 40%
- TONE 100%
- MIX 100%
- Dumble Mode
ギター設定
Pickup Position
- Bridge
Volume
- 100%
Freeway Jam風メインテーマのサウンドメイク
メインテーマでのユニゾン風サウンドをディレイタイムを極端に短くしたダブリングによって再現してみましょう。
ディレイ
まずディレイタイムを70ms前後の非常に短い間隔に設定します。当SMALLGARAGE製DLY-SR1ではDELAYつまみを15パーセントほどにすると近い雰囲気が出せます。
Repeat回数は1回以下、最小に設定します。
ダブリングの効果がはっきりわかるようEFFECTレベルは全開にします。(DLY-SR1にはパラレル接続時の原音成分調節用DRYツマミがありますが今回は原音の調節はしませんので全開にしておきます。)
事前にディレイを上記のようにセッティングしておきメインテーマのパートが来たらディレイをONにします。
ディレイ2は通常のディレイ効果を担っていますのでONのままです。そのためディレイ音が重なって深いリバーブが掛かったように音像が引っ込んでしまう場合はディレイ1(ここではDLY-SR1)のEFFECTレベルを少し下げてみましょう。逆に使用機材によってダブリン効果がイマイチ判りにくい場合はアンプのGAINを少し上げてあげるとクッキリとしたダブリングサウンドを作ることが出来ます。
ただしディレイがセンドリターン接続でない場合GAINを上げ過ぎるとディレイ音が濁ってしまうので上げすぎには注意が必要です。
ピックアップポジション
原曲ではメインテーマはフロントピックアップでのサウンドとリアピックアップでのサウンドが重なったようなオーバーダビングのように聴こえるのでここではフロントピックアップを選択しても良いかもしれません。
ただし、当SMALLGARAGE製DLY-SR1であればリピート音が温かみのあるサウンドなのでそのままリアピックアップで演奏したほうが原音との違いが出てダブリングの雰囲気が出しやすいとも言えます。
Overdrive クリッピングモード
さらにメインテーマ演奏時にはオーバードライブDynamix driverのクリッピングモードをMSモードを選択するとDumbleモードよりまとまりのある歪みサウンドになるためダブリング効果がハッキリするようです。
切り替えに余裕のある場合は試してみてください。
セッティングリスト②(メインテーマ)
アンプ設定
- GAIN 65%
- TREBLE 75%
- MIDDLE 85%
- BASS 75%
ディレイ2設定
- Delaytime 390ms
- Repeat 3回
- Effect Lv. 15%
ディレイ1設定
- Delaytime 70ms
- Repeat 1回(最小)
- Effect Lv. 100%
Overdrive設定
- DRIVE 80%
- LEVEL 40%
- TONE 100%
- MIX 100%
- MS Mode
ギター設定
Pickup Position
- Front
(DLY-SR1をお使いの場合)
- Bridge
以上Jeff Beck/Freeway Jam風サウンドメイク方法をお伝えしました。
メインテーマでのダブリングなどは原曲とは根本的に違うアプローチでのサウンドメイクでしたが、今回に限らずディレイによるダブリングサウンドは数多くの楽曲で耳にすることがある常套手段でもあります。覚えておきましょう。
※上記の方法でオリジナルのサウンドを完全に再現できるものではありません。あくまでも参考として皆さんのサウンドメイクにお役立てできればと思います。